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ここでは障害年金に関するご質問をまとめてみました。
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障害年金と障害者手帳(療育手帳)は別の制度ですので、障害者手帳を持っていなくても障害年金の申請は可能です。身体障害でも精神障害でも、手帳を持たずに障害年金が支給されている方はたくさんいらっしゃいます。
等級を審査決定するのは、障害者手帳は各自治体、障害年金は日本年金機構です。
身体障害者手帳の等級は障害年金の基準と異なるところが多いので、障害年金の等級と一致しないことはよくあります。(原則例:人工透析=年金2級・手帳1級。人工肛門=年金3級・手帳4級。人工弁=年金3級・手帳1級)
精神障害ですと、手帳の診断書や認定基準は年金と似ていますが、手帳を申請(更新)した時から月日が経過していて当時と現在の状態が違っていれば、等級が一致しなくても不思議ではありません。
実際に当オフィスの依頼主様で、すでに3級の精神障害者手帳をお持ちでしたが、障害年金は2級で決定されたという方は結構いらっしゃいます。(東京在住の方に多いです)
このように、障害者手帳の有無や等級をそれほど気にする必要はないと思います。
「働いている」と言いましても、フルタイムは難しいのでパートだったり、一般枠は厳しいので障害者枠だったり、職場から手厚いサポートがあったりなど、何かしら制限がある働き方をしていれば障害厚生年金の請求をお考えになられても良いと思います。(障害基礎年金は「日常生活にどの程度制限が出ているか?」が重要になります。)
人それぞれ状況は異なりますので、働いているからといって障害年金が受けられないわけではありません。働いたら障害年金は出ないという決まりはありませんし、それを国が言ったら自立したい人の気持ちにブレーキを掛けることになります。実際に、障害年金を受けながら働いている方はたくさんいらっしゃいます。なお、精神疾患ではなく、人工透析や人工物(ペースメーカー、ICD、人工関節、人工肛門、人工血管など)の手術をされている方、在宅酸素療法などの「原則○級」と決まっているものは、働いていても支給されますので障害年金の請求をお勧めします。
障害基礎年金と障害厚生年金の審査決定は、東京都新宿区にある日本年金機構の障害年金センターで行っております。(以前は、障害基礎年金は各都道府県にある日本年金機構の事務センター、障害厚生年金は東京都にある日本年金機構本部でした。)
受付から3ヵ月以内に結果を出すよう年金機構内部で決まっておりますが、出される診断書などにもよりますので多少は前後します。人工透析やペースメーカーなどの「原則○級」と決まっている疾患で、かつ、初診日がはっきりしていますと比較的結果が出るのは早いです。
審査段階で、診断書等の内容を主治医や請求者に照会する場合があります。そうしますと、結果が出るまでにはもう少し時間がかかります。
審査結果は、年金請求書に書かれた住所に文書で送られます。支給が決定された場合は封筒に『年金証書』が入っており、不支給が決定された場合は『不支給決定通知書』が入っています。障害認定日は不支給で現在は支給だった場合は『不支給決定通知書』(障害認定日は不支給という通知)と『年金証書』(現在は支給という通知)が入っています。
結果に不服がある場合は、その決定を知った日の翌日から3ヵ月以内に文書または口頭で、地方厚生局内にある社会保険審査官(厚生労働省の役人)に審査請求という不服申し立てをすることができます。審査請求をご希望の方は、お近くの年金事務所で用紙をもらい、障害基礎年金は住所地、障害厚生年金は年金請求書を出した年金事務所を管轄する地方厚生局へ郵送します。(送付先は年金事務所で教えてくれます)
なお、初診日が共済年金加入だった場合は障害共済年金の請求になるので、要する時間は各共済組合(共済事業団)で異なります。審査請求の手続きも、各共済組合(共済事業団)です。
年金(老齢・障害・遺族)は、常に後払いです。原則、偶数月(2.4.6.8.10.12月)の15日に前2ヵ月分が振り込まれます。(特別障害給付金も同様です)
例えば、4/15に振り込まれる年金は2月分と3月分です。15日が金融機関休業日の場合は、その前の営業日に振り込まれます。年金請求書に記載した氏名のフリガナや口座番号が金融機関のデータと一致しないなどの事故が無い限り、16日以降にずれ込むことはありません。
年金機構が支給決定した日によっては、初回の振込だけ奇数月(1.3.5.7.9.11月)になる可能性があります。奇数月に振り込まれる場合は、その前々月分までです。
例えば、受給権発生が7月の人は8月分から支給になりますので、本来であれば8月分と9月分が10/15に振り込まれるはずです。しかし、年金機構のスケジュール上、10月の入金が間に合わず11月になった場合は、11/15に8月分と9月分が振り込まれます。10月分と11月分は12/15に振り込まれるので、初回が奇数月の場合、2回目はその翌月ですから2ヵ月連続で振り込みがあります。(3回目以降は偶数月です。)
障害年金は決定まで時間がかかるため、初回の振込は遅れる場合が多いです。
例えば、4月に障害年金を事後重症で請求し、決定が7月、初回振込が8/15だった場合、初回は5~7月分が8/15に、2回目は8~9月分が10/15に振り込まれるというスケジュールになります。(以降、10~11月分が12/15、12~1月分が2/15と、偶数月の15日に前2ヵ月分が後払いされます)
⇒「振込に関してさらに詳しく」はこちら
今はインターネットを使えば手軽に大量の情報が入ります。しかし、情報が多すぎて理解できなかったり、間違った情報に振り回されることがあります。ネットには何の根拠が無くても書き込めるので、「AとBのサイトでは矛盾したことを言っている」ということもよくあります。どちらが正しいのか判断するのは、閲覧する側です。障害年金の書き込みも、これと同様のことが言えます。
誰だか分からない人に年金の質問はしない方が良いです
私が気になるのは、「誰だが分からない人に年金の質問をネットですること」です。手軽に質問できる分、その回答の信ぴょう性は落ちます。もちろん正しいものもありますが、情報が古くて今となっては正しくなかったり、言葉足らずや憶測だけで書いてあるものも少なくありません。間違った情報を信じて損をしても、書いた人に責任は問えません。
最新で正しい情報を確認するには日本年金機構のホームページが一番ですが、あらゆる疑問には対応できませんし、専門用語のせいで分かりにくいところも多くあり、メール相談には応じていません。そこで、具体的な質問をネットへ投げかけると、いくつか回答がもらえます。しかし、見ず知らずの人の回答が本当に正しいのかどうかは、誰が判断するのでしょう?「閲覧する側」ですから、ご自身です。しかし、質問の答えが合っているのかどうかを自分で判断できるのであれば、そもそも質問なんてしませんね。もし回答が2つ来て、それが反対のことを言っていたら、それこそ困ってしまいます。
ですから、聞くのであれば「信頼のおけるところ」でないと意味がありません。ネットの書き込みをすべて信用すると何が正しいのか分からなくなってしまい、混乱してしまうだけです。
「信頼のおけるところ」とは?
では、その信頼のおけるところですが、年金の専門家である社会保険労務士(社労士)のホームページはどうでしょうか。残念ながら、更新されず古い情報のままになっているところも珍しくありません。
年金額が令和6(2024)年度(令和6年4月分~令和6年3月分)で記載されているか?人工肛門(ストーマ)や尿路変更術の障害認定日の取り扱いが変更された旨が記載がされているか?最低でもこれが無いホームページは、他の箇所も古いままになっている可能性があります。これでは信頼がおけるところとは言えないでしょう。
社労士で年金を専門にしている人は全体でいえば少数派です。(多くは、会社の顧問や助成金申請などの労働関係の仕事をしています。)質問の内容が「障害年金のみ」であれば障害年金専門の社労士が良いです。しかし、他の年金(老齢年金や遺族年金)まで話が及ぶのであれば、障害年金の相談しか経験がない社労士は危険かもしれません。
年金制度は複雑ですから多角的に見る目が必要で、ここが年金の現場では非常に気を遣うところです。老齢年金や遺族年金の実務経験が無いまま障害年金専門でやっている社労士は、老齢年金や遺族年金がからむ相談になると急に歯切れが悪くなるはずです。資格試験の勉強と年金の実務はまったく違うので、間違った答えが返ってくるかもしれません。
このように、質問の内容で問い合わせる所が変わってきますが、少なくても「誰だか分からない人が答えるサイト」を信用することが危険なことはご理解いただけると思います。
年金事務所や役所があまり頼れないということはこちらに書きましたので、まだお読みでない方はご参考ください。
主治医に障害年金が受けられるかどうかを質問することは?
「主治医の先生に障害年金の質問をしたら○○と言われました」というご相談をいただくことがあります。治療の際に「先生、私は障害年金をもらえるのでしょうか?」と聞きたいお気持ちはわかります。しかし、障害年金が出るかどうかは皆様の主治医ではなく、日本年金機構が委嘱している障害認定医が判断します。
皆様の主治医は医学の専門家であって、障害年金の専門家ではありません。主治医も専門外のことを聞かれれば困るはずです。身体障害者手帳の診断書が書ける医師(15条指定医)やベテランの医師(特に精神科医)であれば、多少のアドバイスはしてくれると思いますが、細かい話になればやはり「後は役所か専門家に聞いて」となるでしょう。「出る」と言って不支給だった場合は、クレームやトラブルになる可能性がありますので、主治医も安易に断言はできないはずです。
私は障害年金の専門家ですが医学の専門家ではありませんので、皆様の治療のことを問われれば「先生に伺ってください」としか答えられません。そもそも社労士に治療のことを聞いても、まともな答えは期待できません。(信ぴょう性も著しく低いです。)
ですから、主治医に障害年金のことを聞いても同様のことが言えるのです。世の中のすべてを知っている超人がいたらいいのですが、残念ながらいません。何も医師に限ったことではなく、「その道のプロに聞くのが一番(餅は餅屋)」とはよく言われることですが、まったくその通りだと思います。(ただ、昨今とてもプロとは言えない社労士が、安易に障害年金の代行をしているのは事実です。)
初診日が厚生年金または共済年金に加入していれば、3級以上で障害年金を受けられる権利(受給権)が発生します。原則、ペースメーカーの植込み手術をされた場合は3級です(身体障害者手帳は1・3・4級のいずれかです)。
*障害年金で原則3級のものはこの他に、ストーマ(人工肛門)、ICD(植込み型除細動器)、人工関節、人工骨頭、人工弁、人工血管、在宅酸素療法、尿路変更術、新膀胱の造設があります。(いずれも、障害者手帳の等級と同じになるわけではありません。)
初診日が国民年金加入中や、20歳前または60~65歳未満の年金未加入期間だった場合は障害基礎年金の請求になるので、1級か2級にならないと障害年金は支給されません。質問者の方に、他にも日常生活に支障を来たす傷病があれば別ですが、そうでなければ障害年金が出る可能性はほぼありません。しかし、障害年金ではなく「障害者特例」という、65歳になるまでの老齢年金(「特別支給の老齢厚生年金」)を満額にできる特例があります。報酬比例部分(厚生年金加入中のお給料と厚生年金加入月数で計算された年金)に、「定額部分(厚生年金の加入月数で計算された年金)」が加算される特例です。
例えば、質問者がS30年7月23日生まれの男性で、厚生年金加入が35年(420ヵ月)あったとします。この方は3級で認定されますので、初診日が国民年金加入中のため障害年金は受けられませんが、請求すれば障害者特例は適用されますので、報酬比例部分に定額部分も支給されます。(いくつか条件があるのですが、65歳未満の配偶者がいる場合は「配偶者加給年金」も支給される場合があります。)
障害者特例の条件 *次の1と2を両方満たす必要があります
ただし、自動的に適用されるものではなく請求が必要です。
障害者特例の注意点
障害者特例の相談は?
障害者特例は年金事務所、街角の年金相談センターまたは当オフィスまでご相談ください。市区町村役場は国民年金のみの取り扱いなので、相談しても「年金事務所(年金相談センター)に聞いてください」と言われると思います。
児童扶養手当(特別児童扶養手当や児童手当とは別の手当です)を受給中の方が障害年金を受けると、児童扶養手当は支給停止または差額支給になります。
健康保険の傷病手当金を受給中の方が、同一の傷病により障害厚生年金を受ける場合、傷病手当金と障害厚生年金が両方そのまま支給されるわけではありません。障害厚生年金の支給が優先されるので、両者を比べて傷病手当金の方が高ければ、差額が傷病手当金として支給されます。さかのぼって障害厚生年金が支給された場合、傷病手当金と重なった期間の「障害年金分」は返還となります。(傷病手当金の全額を返還するわけではありません。障害基礎年金のみの支給であれば調整は無いので、傷病手当金と併給できます。)
障害年金の受給額を収入としてカウントされてしまう場合も、ご注意ください。公営住宅の収入審査で、障害年金の支給額は収入としてカウントされます。また、ご家族の扶養に入る際も、障害年金の支給額は収入とみなされます。*健康保険(全国健康保険協会=協会けんぽ)の扶養についてはこちら。健康保険組合の扶養については、各健保組合にお問い合わせください。
障害年金を受けていることが職場に伝わることはありません。障害年金は非課税なので源泉徴収票が出ませんから、年末調整や確定申告で言う必要もありません。障害年金を受けることが嫌であれば途中で停止することもできますし、また受けたくなったら再開することもできます。(但し、「停止~再開」の間の年金は戻りません)
また、現在他の年金(老齢、退職、遺族)を受けている人も注意が必要です。この方は、障害年金を受けると金銭的にデメリットが生じる場合があります。そもそも障害年金を請求すること自体が無意味な方もいます。そのため、その方の年金記録、傷病の程度、配偶者の有無など、あらゆる面から考えて「請求する意味があるのか?」を慎重に確認する必要があります。
「請求して認められたが何のメリットも無かった」ということは絶対に避けなければなりません。もちろん、このような方の障害年金の相談は、年金事務所(年金相談センター)や役所の窓口職員が詳しく確認しますが、それでも説明に誤りが発生することがあります。年金は、それだけ複雑でわかりにくい制度です。
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