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事後重症(じごじゅうしょう)

 「後になって症状が重くなった」という意味です。いつの後か?といいますと「障害認定日より後」です。(ただし、障害認定日~3ヵ月以内の症状を書いた診断書であれば障害認定日請求は可能です。)

  最後の受診から5年以上経過しているためにカルテが破棄されていたり、医療機関が廃院しているなどで、障害認定日以後3ヵ月以内の診断書を書いてもらえないときは、「事後重症請求」になります。障害認定日当時は症状が軽かった場合も事後重症請求をするのが一般的ですが、診断書代が余計に掛かっても構わないというのであれば、障害認定日請求をされるのは構いません。
  事後重症請求は障害認定日請求と違い、支給が決定されても請求日(提出日)の翌月分から年金が発生となります。

  例をあげてみます。
  現在50歳のⅠさんの病名は躁うつ病(双極性障害)です。10年前の40歳の時、初めてA病院精神科を受診しました。初診日から1年6ヵ月後(障害認定日)の時点ではB病院へ通院し、かなり重い状態でした。しかし、当時は障害年金という制度を知らなかったため請求していませんでした。

  50歳になった時、障害年金という制度を知り、請求することにしました。障害認定日時点で支給が認められれば5年分さかのぼって年金が出ることも知ったので、過去に受診していたAB両院に問い合わせてみました。すると、初診のA病院はカルテが保存されていましたが、障害認定日時点に受診していたB病院のカルテは残念ながら廃棄されていました。
  この場合、事後重症による請求しかできません。規則上カルテの保存義務期間は5年とされているため、かなり昔のカルテはすでに廃棄処分されているケースがあります。Iさんが「今通院しているC病院は7年前から通っているから、7年前(A病院初診から3年後)の診断書で請求したい」と言っても、それはできません。あくまでも、「初診日から1年6ヵ月経過した日以後3ヵ月以内の症状」を書いた診断書が無い場合は、事後重症での請求になってしまいます。(審査請求や裁判でそれを争うことは可能ですが。)

  私も年金の現場にいた頃から、「障害認定日時点」と「現在」の2箇所でしか審査してくれない障害年金制度には疑問がありました。「初診は5年前で、1年前から症状が重くなった。なぜ1年前の状態で請求できないのか?」というご質問を受けましたが、「法律でそうなっているので・・」としか答えられませんでした。法律を変えるのは国会しかできませんから、国会議員に働きかけるしかないのが、もどかしいところです。
 

  事後重症請求の注意点

  • 年金は請求した翌月分からなので、請求が遅れれば遅れるほど受け取れる年金が消えてしまいます。
  • 請求は65歳の誕生日前々日までに行わないといけません。(65歳を過ぎている方は、障害認定日請求のみになります。)
  • 老齢基礎年金の繰り上げ(65歳を待たずに早めにもらうこと)をしている方はできません。(障害認定日請求はできる場合があります。)

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